佐藤和幸
最近では、ホームセンターやインターネットを使えば簡単に材料や道具をそろえることができるため、DIYを趣味の一つとして楽しむ方も増えています。
DIYでは、自分自身で思うままにアレンジができ、プロに依頼するよりも費用を大幅に抑えることができるというメリットがあります。ただ、内装を塗り替えたり、棚などをDIYで作るということであれば問題はありませんが、外壁や屋根塗装ではDIYはオススメできません。
このページでは、外壁塗装のDIYをオススメできない理由について具体的にご紹介しています。
外壁塗装のDIYをおすすめできない理由
作業の危険性
外壁や屋根塗装のDIYをオススメしない1番の理由は、作業に危険が伴うという点です。住宅の高さは、2階建てで7〜9mもあります。
プロの塗装職人でも安全に作業するために、足場を建てて作業を行ないますが、足場は個人でレンタルするした場合、1ヶ月で20〜25万円もの費用がかかるため、DIYでは足場のレンタルはあまり現実的ではありません。
そのためDIYでは、ハシゴや脚立を使うこととなりますが、しっかりと固定できず不安定な状態での作業となります。慣れない作業を足場の悪い場所で行なう事となるため、転倒などケガのリスクが伴います。
塗装の技術による耐久性の低下
塗料は、塗装前の下処理から塗装後までに行なう工程が多く、専門的な知識と技術が必要です。
適切に作業を行なわなければ、塗料本来の性能を発揮することが出来ず、耐久性が低下や早期のひび割れや剥離などの施工不良が発生する可能性があります。
そもそも、ホームセンターなどで売られている塗料は、誰でも扱いやすいというメリットはありますが、プロ仕様の塗料に比べ耐久性は劣ります。
また、プロ仕様の塗料をインターネットから購入することも可能ですが、メーカーが定める希釈量などの規定を守り塗膜を均一にできなければ、塗料の耐久性や性能に影響を及ぼします。
作業時間(費用対効果)
外壁・屋根塗装では、「洗浄」→「養生」→「下地処理」→「下塗り」→「中塗り・上塗り」の順番で作業を行ないます。
この工程を、プロの塗装業者が行なった場合14〜20日ほどかかります。ただ、これは天候に恵まれ、1日も休みなく陽が明るい時間ずっと作業をした場合の日数です。
室内の塗装であれば、仕事終わりに作業をするということも可能ですが、外壁や屋根は暗くなると作業をすることはできませんので、これを個人で行なうとなれば、1週間のうち作業日数がどれだけ取れるかなどの個人差はあるとしても、45〜60日程度の日数が必要となります。
また、塗料だけではなく高圧洗浄機や塗装に必要な道具などを1から揃えなければいけません。
外壁塗装をDIYで行った場合の試算
外壁や屋根塗装をDIYで行うためには、まずは道具を揃える必要があります。塗料や道具全て揃えた場合には、20〜30万円程度の費用が必要です。主に以下のような道具が必要になります。
足場
個人でプロが使用するビケ足場をレンタルする場合には、30日で25万円前後必要となります。そのため、60日で作業が終わったとすれば、足場代だけで50万円前後の費用が必要です。
一般的には、ハシゴや脚立で作業を行いますが、それぞれの費用は以下の通りです。
・ハシゴ:5,000~15,000円
・脚立:5,000~10,000円
洗浄
塗装前に、建物に蓄積した汚れや古い塗膜を洗い流す必要があります。この作業をしっかりと行わなければ、どんなに綺麗に塗装したとしても塗膜が密着せずに、すぐに剥がれてしまう恐れがあります。
家庭用の高圧洗浄か、ブラシを使い手作業で汚れを落とす方法がありますが、手作業で汚れを落とす場合にはかなりの作業時間が必要となります。それぞれの費用は以下の通りです。
・高圧洗浄機:10,000~20,000円
・ブラシとバケツ:1,000円程度
養生
塗料飛散し周囲に塗料が付着しないよう、塗装が必要ない箇所はビニールやガムテープなどで覆って保護する必要があります。
養生を丁寧に行うことによって、塗った部分と塗っていない部分の境目がはっきりするので、塗装の仕上がりが良くなります。養生には、以下のような道具が必要です。
・マスカー:180円前後(幅300mmx長さ25mm)230円前後(幅1800mmx長さ12.5mm)
マスキングテープと養生シートが一体となったもので、サイズによって値段が変わります。新聞紙や不要になった布などでも代用することは可能ですが、紙は雨に濡れてしまうとぐちゃぐちゃになってしまうため、マスカーを購入されることをオススメします。
・テーププライマー:1,000円
スプレーで噴射して使用する下地処理材で、マスキングテープのはがれを防止することができます。主にコンクリートなどテープが付着しづらい箇所で使用します。
・ラスター:150~500円
小さな刷毛で、細かい箇所を掃くのに便利です。ほうきなどで代用することも可能です。
・ガムテープ:100円
養生シートが風で仰がれないようにビニール部分をガムテープで固定します。
塗料
外壁塗装では、基本的に「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗りで塗装を行います。中塗りと上塗りは同じ上塗り塗料をで2回塗装を行うため、下塗り材と上塗り材の2つを用意する必要があります。
・下塗り(シーラー・フィラー):4,000~11,000円前後
下塗りは、塗装面と上塗りの密着性を高めたり、塗装面を均一に整える役割があります。
・中、上塗り塗料:商品ごとに価格が変わります。
シリコンやフッ素などのグレードに分かれており、選ぶ塗料のグレードによって、塗装の耐久性や機能性が変わります。現在はシリコンが主流となっています。
塗装に必要な道具
塗料を塗るためには、以下の道具が必要となります。
・ローラーバケットセット:約3,000円
塗料を入れる四角いバケツのようなもの。このバケットに塗料を入れて使用します。網目状のネットが付属されており、ローラーに付き過ぎた塗料を落とす際に使用します。
・刷毛:200~500円
刷毛は、主に細かい部分の塗装に使います。
・ローラー:700~1,000円
主に広い面積の塗装に使います。
・サンドペーパー:150円
鉄部のケレンに使うヤスリ。ケレンとは表面に傷を付ける作業で塗料の付着をよくする作業です。
・シーリング材:200~700円(300ml)
サイディングの目地部分や窓枠部分に使われる合成ゴム製ののり状の材料。オススメは、変成シリコン系のシーリング材です。どんな箇所でもオールマイティに使え、耐久性も高いという特徴があります。
・バックアップ材、ボンドブレイカー
サイディングの目地部分に使用する建材で、シーリング材の3面接着を防ぐために使用します。溝が深い目地の場合はバックアップ材を使用し、溝が浅い場合はボンドブレイカーを使用します。
外壁塗装DIYで行うメリット
外壁や屋根塗装をDIYで行う場合、業者探しの手間や塗装業者へ依頼した場合の人件費、交通費などの費用がかからないというメリットがあります。
そのため、高所での作業が必要なく頻繁にメンテナンスが必要な、玄関柱の木部やウッドデッキなどの木部でのDIY塗装はオススメです。
ただ、屋根・外壁塗装など大掛かりな塗装については、費用対効果も悪く、危険も伴うためDIYはオススメできません。
まとめ
外壁や屋根の塗装をDIYで行う場合、業者探しの手間が無く費用を抑えられるというメリットはありますが、それ以上に作業に時間がかかる、危険性が伴う、仕上がりや品質が劣るというデメリットを注視する必要があります。
外壁・屋根塗装は、建物の耐久性を維持するためにも、プロである塗装業者へ依頼することをオススメします。
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