屋根には、素材や形状によってさまざまな種類があり、種類によって特徴は異なります。見た目だけではなく、耐久性やメンテナンス方法にも違いがあるので、ご自宅の屋根の特徴を理解しておくことが大切です。
このページでは、外壁材の種類や特徴についてご紹介しています。
屋根の種類
屋根に使われる屋根材は、大きく分けて「金属系」「スレート系」「セメント系」「日本瓦」「アスファルトシングル」の5種類に分類されます。
金属系
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、鉄の中芯にアルミニウムと亜鉛の合金をメッキした耐食性や耐熱性、耐凍害性に優れているという特徴があります。鋼の薄板です。
非常に軽量な素材のため、建物への負担を軽減することができます。また、軽量ということもあり、カバー工法で採用されることが多い屋根材です。
ただ、衝撃に弱く傷が付きやすい素材なため、強風などによって飛来物が当たったりするとへこんだり傷がついてしまう恐れがあります。傷付いた箇所や表面の塗膜の劣化によって、サビが発生してしまう恐れがあるため、定期的なメンテナンスが必要です。
また、石粒付ガルバリウム鋼板というガルバリウム鋼板に表面に天然の細かな石粒を吹き付け、トップコートでコーティングした屋根材もあります。石粒付ガルバリウム鋼板は、「ジンガリウム」と呼ばれることもあります。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は、塩害地域で15年それ以外の地域で30年程度です。価格は、1㎡あたり6,000円〜9,000円程度が相場です。
経年劣化が進行すると、色あせやサビなどの劣化症状が現れる場合があります。10~15年を目安に点検や塗り替えや補修を行いましょう。劣化状況によって葺き替えやカバー工法によるリフォームを行う必要があります。
銅板
銅板は、銅で作られた屋根材です。現在は一般住宅の屋根に使用されることは少ないですが、日本の風土に適しているとして、古くから神社仏閣の屋根に採用されています。
施工直後は、新品の10円玉のような色合いをしていますが、経年によって表面が緑青と呼ばれる酸化被膜に覆われていきます。これによって銅板は、緑色に変化していきます。この緑青が内部の腐食を防ぐため耐久性が非常に高く、塗装の必要がありません。
銅板の耐用年数は、50年〜60年程度です。価格は、1㎡あたり18,000円〜20,000円程度が相場です。
銅板は、塗装をしても表面にできた緑青の影響ですぐに剥がれてしまうため、塗装によるメンテナンスは必要ありません。ただ、酸性雨や電食によって銅板に穴が空いてしまう可能性があります。
そのため、定期的に点検を行い、劣化がみられる場合には葺き替えやカバー工法によるリフォームを行う必要があります。
トタン
トタンは、鉄の中芯に亜鉛をメッキした「亜鉛メッキ鋼板」のことです。価格が安価で、加工がしやすく、継ぎ目がないため雨漏りに強いという特徴があります。
戦後に爆発的に普及し、当時の主流となっていました。しかし現在では、トタンに比べ耐久性の高いガルバリウム鋼板の普及により、東北や北海道など積雪地域を除いて屋根に使用されることほとんどありません。
トタンの耐用年数は、10年~20年程度です。価格は、1㎡あたり5,000円〜6,000円程度が相場です。
トタンは、サビが発生しやすいので、7年~10年程度を目安に塗り替えをする必要があります。耐用年数が過ぎ劣化がみられる場合には、葺き替えやカバー工法によるリフォームを行う必要があります。
スレート系
化粧スレート(カラーベスト・コロニアル
化粧スレートは、セメントに繊維質の材料を混ぜて板状に成型した屋根材です。スレートは、商品名であるカラーベストやコロニアルとも呼ばれます。
国内で最も普及している屋根材のため、メーカーからデザインやカラーも豊富に製造されていてバリエーションが豊富です。また、スレート自体には防水性がなく耐久性はそれほど高くはありませんが、耐久性に優れた塗料や遮熱塗料が塗装された屋根材もあります。
化粧スレートの耐用年数は、20年〜25年程度です。価格は、1㎡あたり 4,500円〜8,000円程度が相場です。
化粧スレートは、表面の塗膜が劣化するため、10~15年を目安に塗り替えを行う必要があります。また、劣化によりひび割れや反りなどの症状が起きやすいので、状況によって補修や葺き替え、カバー工法によるリフォームを行う必要があります。
天然スレート
天然スレートは、粘板岩(粘板岩)と呼ばれる堆積岩を薄い板状に加工した屋根材です。天然スレートには、天然石特有の高級感があり、耐候性や断熱性に優れた屋根材で、耐久性も非常に高いのが特徴です。
ただ、生産性が少なく、価格が高価なため、国内の一般住宅ではあまり採用されることはありません。天然スレートの耐用年数は、30年以上あり、価格は、1㎡あたり20,000円~30,000円程度が相場です。
天然スレートは、化粧スレートのように表面に塗装を施していないため、定期的に塗り替えをする必要はありません。スレートに欠けや割れがある場合には、部分的に差し替えて補修を大なう必要があります。
また、天然スレート自体に問題はなくても、屋根の下地材が劣化している場合には、葺き直しによるリフォームが必要です。
セメント系
プレスセメント瓦(厚形スレート瓦)
プレスセメント瓦は、セメントと砂を混ぜ合わせて成型した後、フッ素樹脂塗料などの高耐久性塗料で着色された屋根材です。化粧スレートに比べて厚みがあることから「厚型スレート瓦」とも呼ばれています。
耐火性が高く、寸法精度に優れていることから施工性が高いという特徴があります。また、厚みがあるので、防音性や断熱性にも優れています。
プレスセメント瓦の耐用年数は、30〜40年程度です。価格は、1㎡あたり6,000円~8,000円程度が相場です。
プレスセメント瓦は、防水性を表面の塗装に依存しているため、経年によって塗膜が劣化すると水を吸いやすくなり、コケやカビ、スレートの割れにつながる原因になります。そのため、約15年を目安に塗り替えをする必要があります。
耐用年数が過ぎ劣化がみられる場合には、カバー工法は不向きなため葺き替えによるリフォームを行う必要があります。
コンクリート瓦(モニエル瓦)
コンクリート瓦は、プレスセメント瓦と原料は同じですが、セメントの配合量が少なく、押し出し成形方式で成型された屋根材です。コンクリート瓦の性質も厚型スレートとほとんど変わりません。
コンクリート瓦の中でも、ラファージュルーフィング株式会社(旧:日本モニエル株式会社)から発売されていた輸入瓦の「モニエル瓦」は1970年代~1980年代頃まで高い人気がありましたが、様々な事情により2010年に日本市場から撤退することとなりました。
モニエル瓦は、形成後に着色セメントスラリー塗装とクリヤー塗装をすることで、防水層を形成します。また、モニエル瓦の他に、ケイミュー株式会社の「クボタ洋瓦」やアサヒ株式会社の「スカンジア瓦」なども販売されていましたが、現在はいずれも生産中止となり販売されていません。
コンクリート瓦の耐用年数は、30年〜40年程度です。価格は、1㎡あたり6,000円〜8,000円程度が相場です。
プレスコンクリート瓦と同様に、防水性は表面の塗装に依存しているため、経年によって塗膜が劣化すると水を吸いやすくなり、コケやカビ、スレートの割れにつながる原因になります。そのため、約15年を目安に塗り替えをする必要があります。
ただ、モニエル瓦などの表面にスラリー塗装が施されている場合には、着色スラリーをしっかり除去してから、専用の下地材を使用し塗装をしなければ1~2年程で塗膜が剥がれてしまう可能性があるので注意が必要です。
耐用年数が過ぎ劣化がみられる場合には、カバー工法は不向きなため葺き替えによるリフォームを行う必要があります。
日本瓦
日本瓦は、粘土を瓦の形に形成し乾燥させ、1,000℃~1,250℃の高温で焼き固めた屋根材で、粘土瓦や和瓦とも呼ばれています。
日本瓦には、表面に釉薬(ゆうやく)を塗ってから焼き上げる「釉薬瓦(陶器瓦)」や工程の最後に燻して表面に銀色の炭素膜を形成させる「いぶし瓦」、そのまま素焼きで焼き上げる「塗釉瓦(素焼き瓦)」などの種類があります。
屋根材の中では最も耐久性があり、防火性や防音性、防水性、断熱性に優れているという特徴があります。日本瓦の耐用年数は、50年~100年程度です、価格は、1㎡あたり8,000~12,000円程度が相場です。
日本瓦は、表面に塗装を施していないため、定期的に塗り替えをする必要はありません。ただ、台風などによって瓦が欠けたり、割れてしまった場合には、部分的に差し替えて補修を行います。
また、屋根の下地材や棟部のしっくいは経年によって劣化するため定期的な点検と補修が必要です。屋根の下地材の耐用年数が過ぎ劣化がみられる場合には、葺き直しや葺き替えによるリフォームを行う必要があります。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは、ガラス繊維のグラスファイバーにアスファルを浸透させ、細かな石粒などの鉱物粒で表面を着色し、アクリル樹脂で固めて仕上げた屋根材です。防水性に優れ非常に軽量で、傷が付きにくいのが特徴です。
また、ゴムのように柔らかいシート状の素材のため加工がしやすく、表面に施された天然石が緩衝材となり防音性が高いという特徴もあります。アスファルトシングルの耐用年数は、10年~30年程度です。価格は、1㎡あたり6,000円~8,000円程度が相場です。
アスファルトシングルは、基本的に10年を目安に塗り替えを行う必要があります。ただ、製品によっては、30年以上メンテナンスの必要がないものもありますが、屋根の下地材の耐用年数が過ぎ劣化がみられる場合には、カバー工法や葺き替えによるリフォームを行う必要があります。
屋根勾配
屋根には、傾斜のない「陸屋根」と傾斜のある「勾配屋根」があり、勾配屋根は、傾斜によって3種類に分類されます。
急勾配屋根
急勾配屋根は、屋根の角度が6寸(約30°)以上の傾斜が急な屋根のことを指します。急勾配のため、水が溜まりづらくなるため、雨漏りがしにくく屋根材へのダメージが少ないという特徴があります。
また、屋根裏の空間が大きくなるため、断熱効果が高くなりなる、屋根裏部屋や物置などとして空間を有効活用できるという特徴があります。
ただ、屋根の面積が広くなることによって、台風や突風の影響を受けやすくなる、施工費用が高くなるというデメリットがあります。
並勾配屋根
並勾配屋根は、屋根の角度が3寸~5寸(約16°~約26°)程度の屋根のことを指します。最も普及している屋根勾配のため、デザインや屋根材、雨漏りなどのトラブルに対して様々技術や知識が蓄積されているというメリットがあります。
ただ、もっとも一般的な形のため凡庸なデザインとなり個性を出すことは難しいというデメリットがあります。
緩勾配屋根
緩勾配屋根は、3寸(約16°)以下の傾斜が低い屋根のことを指します。傾斜が緩やかになることで、屋根の頂上部分が低くなり台風や突風の影響を受けにくくなる、雪などの被害を抑えることができるというメリットがあります。
ただ、傾斜が緩やかになることで、雨が溜まりやすく、雨漏りが発生しやすいというデメリットがあります。
屋根の形状
屋根の形状には、傾斜の有無によって「陸屋根」と「勾配屋根」に分類されます。ほとんどの一般住宅では勾配屋根が採用され、次の7種類に分類されます。
切妻屋根
切妻屋根は、最も一般的な形で三角屋根とも呼ばれています。雨漏りがしにくい急勾配屋根で、構造がシンプルなため施工がしやすく、施工やメンテナンスのコストを抑えることができるというメリットがあります。
ただ、形状がシンプルなためデザイン性が低い、屋根の頂点部分の棟から直角にある妻側に劣化要因の紫外線が当たりやすいというデメリットがあります。
寄棟屋根
寄棟屋根は、屋根の頂上部から4つの方向に屋根面が分かれた形状で、切妻屋根と同様に一般住宅ではスタンダードな屋根形状の一つです。切妻屋根に比べ、面が4つに分かれているため耐風性や耐久性が高いというメリットがあります。
ただ、切妻屋根比べ屋根の面が多いため、面が重なり合う部分で雨漏りが起こりやすいというデメリットがあります。
方形屋根
方形屋根は、寄棟屋根の一種で頂点部分から4方向に屋根の面が分かれ、各面が全て同じ大きさで三角形のピラミッド形状をしています。4つの面が均等に支え合うので、丈な構造で耐風性や耐震性が高いというメリットがあります。
ただ、寄棟屋根と同様に面が重なり合う部分で雨漏りが起こりやすいというデメリットがあります。また、全ての面が同じ大きさになるため、建物が正方形に限定されてしまいます。
片流れ屋根
片流れ屋根は、1方向にのみ傾斜した屋根のことです。切妻屋根以上にシンプルな形状なため、施工がしやすく、施工やメンテナンスのコストを抑えることができるというメリットがあります。
ただ、1面しかない屋根や雨樋への負担が大きくなり、雨漏りが起こりやすい、耐風性が低いという特徴があります。
入母屋屋根
入母屋屋根は、切妻屋根と寄棟屋根を合わせたような形状の屋根で、日本の伝統的な造りの屋根で、古い家によく見られる形状です。日本の伝統的なデザインをした屋根のため、和風の建物では重厚感や風格のある外観を作り出すことができます。
ただ、構造が複雑なため施工やメンテナンスコストが高くなってしまうというデメリットがあります。
招き屋根
招き屋根は、切妻屋根の一種で屋根が段違いになった形状の屋根で、「差しかけ屋根」とも呼ばれています。屋根の高さが段違いになっていることで耐風性が高く、片側の屋根勾配が急になるため、ロフトや物置などとして空間利用をしやすいというメリットがあります。
ただ、他の形状に比べ、屋根と壁のつなぎ目の部分から雨漏りがしやすいという特徴があります。
はかま腰屋根
はかま腰屋根は、切妻屋根と寄棟屋根が合わさったような形状の屋根で、「ドイツ屋根」などとも呼ばれます。建築基準法の高さ斜線制限がある場合は、屋根先端の高さを抑えられるというメリットがあります。
ただ、切妻屋根に比べ構造が複雑になるため、雨漏りがしやすいというデメリットがあります。
陸屋根
陸屋根は、傾斜がない平らな形状の屋根で、平屋根やフラットルーフとも呼ばれています。鉄筋コンクリート造などの建物や豪雪地帯などで良く採用されています。
屋根が平らな形状をしているため、屋上としてスペースを有効活用できる、屋根の点検がしやすいというメリットがあります。
ただ、屋根裏のスペースがないため、最上階の天井が熱くなりやすい、傾斜がないため水が溜まりやすく、他の形状に比べ雨漏りが起こりやすいというデメリットがあります。
屋根の形はリフォームで変えることが出来る
屋根の形状や勾配はリフォームによって変えることがで、長年雨漏りに悩まされているという場合には根本から解決する可能性もあります。
ただ、大がかりな工事になるため、屋根の形状を変えることで建物の耐久性に影響が出ないかを考慮して行う必要があります。費用は、200万円〜700万円程度が相場となります。
まとめ
屋根材は、主に「金属系」「スレート系」「セメント系」「日本瓦」「アスファルトシングル」の5種類に分類され、屋根の勾配や形状にも様々な種類があります。
それぞれ特徴やメンテナンス方法は異なります。ご自身のお宅に当てはまる、屋根材の特徴などの知識を事前に備えることで、今後のメンテナンスのイメージがしやすくなるのではないでしょうか?
雨漏りの原因を作るその前に、大きな問題にならない前に定期的にしっかりメンテナンスして、適切なタイミングで工事していく事をお勧め致します。
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