佐藤和幸
外壁・屋根塗装の見積書には、必ず「下地処理」や「下地調整」などといった項目があります。下地処理は塗装の出来映えを大きく左右する重要な工程となるため、建物の状況に応じて丁寧に作業することが大切です。
もし下地処理を怠ると、塗装が直ぐに剥がれてしまったり、ひび割れが再発するなどの初期不良を引き起こす恐れがあります。
下地処理についてよく知らないという方も多いかと思いますので、今回は下地処理の重要性や作業内容などに関してご説明いたします。
下地処理とは
外壁・屋根塗装の下地処理とは、塗装をする前に外壁や屋根などの下地を塗装ができる状態に整えることです。
下地処理では塗装面に残っている汚れ、ホコリ、サビ、コケ、藻、旧塗膜などを除去し、さらに建材のひび割れやコーキング劣化などが発生している場合は、これらの劣化部分を補修する作業も行います。
塗装面を綺麗に整えてから塗装をすることで、新しく塗装する塗料の密着力が高まり、そして塗料が持っている性能や耐久性を十分に発揮できるようになります。
下地処理の重要性
下地処理は、塗装の出来映えに大きく影響する工程です。下地処理を行わなかったり、作業が不十分だと塗料の密着力が低下し、塗装後すぐに塗膜の剥がれや膨れ、ひび割れなどを引き起こしてしまいます。
さらに、塗料の性能を発揮するためにはメーカーが定めた塗布量を均一に塗装する必要がありますが、下地処理が不足していると塗料が均一に塗ることができずに、塗料本来の性能が発揮されない可能性もあります。
このように、どれだけ高耐久・高性能な塗料を使用していても、下地処理がしっかりと行われていなければ施工不良や性能低下に繋がってしまいます。
外壁・屋根塗装の仕上がりは、下地処理の方法や手間のかけ方によって差が出てきますので、塗装前の下地処理の段階から丁寧に徹底して作業を行うことが重要です
下地処理の作業内容
下地処理で行う主な作業は、以下の5つです。それぞれ大きな役割があり、建物の劣化状況や素材などに適した方法で作業を進めていくことが大切です。
高圧洗浄
高圧洗浄機を使用して外壁や屋根の汚れ、ホコリ、サビ、コケ、チョーキングの粉、旧塗膜などを洗い流します。
業者が使用する高圧洗浄機は、家庭用の高圧洗浄機よりも強い水圧で水を噴射できるので、下地に付着している様々な汚れを勢いよく除去することが可能です。
また、頑固な汚れやサビなどがみられる場合は、らせん状に水を噴射するタイプの高圧洗浄機を使用したり、専用の洗剤を塗布してから洗浄する方法を用いるケースもあります。
作業時間は半日~1日で、その後24時間~48時間程かけて乾燥させます。乾燥時間は季節や天候によって変わります。しっかりと乾燥させないと施工不良に繋がるため、塗料の乾燥時間と同様に高圧洗浄後の乾燥も非常に重要なポイントとなります。
作業中の注意点としては、騒音が発生する、水道代がかかる、水が当たってはいけない部分はしっかりと養生をして保護する等が挙げられます。
騒音に関しては、トラブルを避ける為にも事前に近隣の方々に周知しておくことが大切です。基本的に事前の挨拶は業者が行ってくれるかと思いますが、もし不安な方は騒音についても伝えてもらうように業者に話しておくといいでしょう。
そして高圧洗浄で使用する水は施工先の水道を使用するため、水道代はお客様が負担することになります。高圧洗浄でかかる水道代は地域や施工面積によっても異なりますが、約1,300~1,800円程度が相場です。
3つ目の水が当たってはいけない部分とは、インターホンや防犯カメラ、玄関ライトなどです。内部に水が入って故障したり、高い水圧により破損する恐れもあるので、ビニールでしっかりと養生する必要があります。
コーキング補修
コーキング補修とは、外壁材の接合部分や窓サッシ周りに施工してあるコーキング材というゴム状の部材を補修することを言います。
コーキングは紫外線や雨風などに影響によって劣化していき、施工後10年程でひび割れや剥がれなどを引き起こします。
そしてコーキングの劣化を放っておくと、劣化によって生じた隙間から雨水が浸入して雨漏りの原因となってしまうため、塗装工事の際は併せてコーキング補修も行います。
クラック補修
クラックとは、外壁や屋根に発生したひび割れのことを指します。
ヘアークラックと呼ばれる髪の毛程度の細いひび割れであれば塗装のみで補修できますが、大きめのクラックが発生している場合は、コーキング材などを注入して亀裂を埋める補修方法が用いられます。
また、シーリング材が奥までしっかりと入り込むように電動工具で亀裂部分をV字もしくはU字にカットし、あえて亀裂を広げてからコーキング材を注入する「V字カット工法」「U字カット工法」という方法もあります。
クラック補修を怠ると、塗装をしてもまた同じ部分にクラックが現れてしまうため、必ず塗装前に適切な方法で補修することが重要です。
ケレン
ケレンとは、ディスクサンダーと呼ばれる電動工具や紙やすりなどを使用して、サビや古い塗膜などを除去していく作業のことです。また、サイディング外壁や木材の表面を滑らかにする役割もあります。
サビや塗膜が残っている状態で塗装をすると、塗装後すぐにサビが再発してしまったり、古い塗膜と共に新しい塗膜も剥がれてしまう可能性があります。そのため、必ず塗装前にケレンを行うことが大切です。
その他にも「目粗し」という工程もケレンに含まれます。目粗しは、ツルツルした面にあえて紙やすりなどを使って細かい傷を付ける作業で、下地をザラザラした状態にすることにより塗料の密着力を高められる効果があります。
目止め
目止めとは、目止め材やシーラーなどを塗布して微細な穴や割れを埋め、下地表面を滑らかにする作業のことを言います。
劣化が激しい下地の場合、そのまま下塗り塗料を塗ってしまうと微細な穴や割れに塗料が吸い込まれていき、塗膜に厚みを出すことができません。
そして、下塗り塗料が正しく機能をしていないと中塗り・上塗り塗料の密着力が低下し、早期の剥離やひび割れなどに発展してしまいます。
そのため、下地処理の際は目止めを行い、塗料が吸い込まれるのを防いで、下地を塗装ができる状態に整えることが重要となります。
下地処理を行わないと起こる症状
下地処理を行わないと起こる症状は、主に次の3つです。美観や塗膜の耐久性、建物の耐震性に大きく関わるため、下地処理は必ず行わなければなりません。
ひび割れ
ひび割れの発生は、クラック補修がきちんと行わてれていなかったことが原因です。
クラック補修をせずに塗装でひび割れを埋めただけの場合、最初のうちは綺麗に見えるかもしれませんが、すぐにひび割れが表面に出てきてしまいます。そのため、必ず適切な方法で補修することが大切です。
ひび割れを放置していると建物内部に雨水が浸入し、外壁材の腐食やシロアリ・カビの発生などを引き起こします。雨漏りは修理費用が高額になるだけではなく、建物の耐震性が低下する原因にもなるので注意が必要です。
塗膜の剥離
塗膜の剥離が起こる原因はいくつかあり、高圧洗浄やケレンが不十分で塗料がしっかりと密着していなかったり、目止めが行われおらず下塗り塗料が下地に吸い込まれ、それにより中塗り・上塗り塗料の密着力も低下した等が考えれます。
塗料が剥がれてしまうと塗料の本来の性能を発揮できなくなるため、塗料の耐久年数よりも早く劣化が進行したり、塗膜による保護機能が失われることによって下地内部に雨水が染み込んでしまう恐れがあります。
塗膜の剥離は美観の低下や雨漏りの原因となるため、状況が悪化する前に塗り替えを行って、塗膜の保護機能や防水機能を復活させることが必要です。
塗膜の膨れ
塗膜の膨れは、高圧洗浄後の乾燥や下塗り材の乾燥が不十分だったことが原因として挙げられます。
洗浄後の水や塗料が完全に乾く前に塗装を進めてしまうと、塗膜内部に残った水分や水蒸気が外に出ようとして塗膜が膨れ上がってしまうのです。
塗膜の膨れを放っておくと、やがて塗膜そのものが破れてしまったり、塗膜内部に溜まった水分が建物内部に染み込んでしまう可能性があります。そのため、早めのメンテナンスが重要となります。
まとめ
外壁・屋根塗装で必要な下地処理にはいくつかの工程があり、主に高圧洗浄、ケレン作業、クラック補修、シーリング補修などを行います。
下地処理を行わないと、塗装してもすぐにひび割れやサビが発生したり、塗膜の剥離や膨れなどを引き起こしてしまいます。そのため、塗装工事を行ううえで下地処理は非常に重要なポイントです。
どれだけ高耐久な塗料を使ったとしても、下地処理が不足していると塗料本来の性能は発揮できません。業者から見積もりをとる際は下地処理の項目をしっかりと確認し、詳しい作業内容を聞いてみるようにしましょう。

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