外壁や屋根は、どちらも雨風や紫外線の影響を受けて日々劣化していくため、塗り替えを一度に済ませることで全体の費用を抑えながら、建物全体の耐久性を維持することができます。
ただ、塗り替え工事の費用は、建物の規模や選ぶ塗料によっても大きく異なるため、相場がわかりにいとお悩みの方も少なくありません。
そのうえ、相場わかりにくいのをいいことに、高額な費用を請求するような悪徳業者も存在するので、注意が必要です。
このページでは、そのような業者の被害にあわないために外壁・屋根塗装を同時に行うときの価格相場と内訳についてご紹介します。
延べ床面積別の外壁・屋根塗装の価格相場
2階建ての平均的な戸建住宅で、外壁と屋根の塗装を同時に行う場合のおおよその価格相場は以下の通りです。
坪数(延坪) | 延べ床面積 | 相場 |
---|---|---|
20坪 | 66m2 | 70〜110万円 |
30坪 | 99m2 | 80〜120万円 |
40坪 | 132m2 | 150〜190万円 |
ただし、延べ床面積が同じであっても建物の形状や高さで外壁面積が大きく異なるため、この金額はあくまでも概算となります。
塗料の設計単価とは?
設計単価とは、メーカー希望小売価格のようなもので、塗料メーカーが塗装に必要な1㎡あたりの金額を算出し公表しています。製品の設計単価は、各塗料メーカーのWEBサイトで確認が可能です。
一般的に施工面積300㎡以上を基準に、塗料の材料代と手間代を合わせた金額を想定しているため、300㎡未満の戸建て住宅の場合は、この単価では少し割高です。
そのため、この設計単価よりも安い単価で見積書を作成する業者がほとんどです。ただ、設計単価には、工事に必要な仮設足場や塗装前に行う高圧洗浄作業などは含まれていないので注意が必要です。
外壁・屋根塗装の費用の内訳
塗装工事の費用は、大きく分けると「材料費」「足場代」「人件費」「その他の工事代金」で構成されています。
それぞれの費用が占める割合は以下の通りです。
1.材料・塗料の費用(20%)
塗料や養生シート、飛散防止ネット、コーキング材など塗装するために必要な材料すべてが材料・塗料の費用として含まれます。
使用する塗料のグレードによって耐用年数や単価が異なり、グレードの高い塗料や遮熱・低汚染などの付加価値が多く付いた塗料ほど単価は高くなります。
塗料のグレードごとの相場は以下の通りです。
塗料グレード | 期待耐久年数 | 単価 ※1㎡あたり |
---|---|---|
アクリル | 3~6年 | 1,400~1,600円 |
ウレタン | 7~10年 | 1,700~2,200円 |
シリコン | 10~13年 | 2,300~3,000円 |
ラジカル制御 | 12~15年 | 2,500~3,000円 |
フッ素 | 15~20年 | 3,800~4,800円 |
光触媒 | 15~20年 | 4,200~5,000円 |
無機 | 20~25年 | 4,500~5,500円 |
2.人件費の費用(30%)
人件費とは、足場や高圧洗浄、塗装など塗装工事を行う職人への費用のことで、工事に携わる職人の人数に工事日数をかけて算出します。
また、新人の職人やベテランの職人、下請けの職人などそれぞれ職人によって給料などが異なるため、ベテランの職人ばかりが多い場合、人件費も高くなります。
3.足場代(20%)
足場にかかわる費用のことで、足場の材料を運ぶ運搬費や足場を組むための施工費も含まれます。
高所で作業を行う外壁・屋根塗装では、作業員の安全確保や塗装の品質維持のために、足場を設置してから作業を行います。
中には、「足場代を無料にします!」という業者もいますが、そのようなセールストークには注意が必要です。
足場を組むためには「足場の組立て等作業責任者」という国家資格を有した人材を配置する必要があるため、足場を専門業者に外注する施工業者も少なくありません。
そのため、通常は塗装工事全体の20%をも占める足場代を無料にできるはずがないのです。もし、足場代を無料にすると言われた場合には、その他の材料費や人件費に上乗せされている可能性が高いでしょう。
4.その他の工事代金(30%)
塗装工事では、その他にも塗料や塗装に必要な材料を運ぶ「運搬費」や作業員の移動のためににかかる「交通費」、工事で出た廃材を処分するための「廃材処理費」などが必要となります。
また、会社が存続するための運営費用も30%の中に含まれます。
外壁や屋根面積を知る重要性
外壁・屋根塗装の費用は、「塗装面積×塗料単価」で費用の大部分が決まります。そのため、業者が提示する費用が適正な価格が判断するためにも、外壁や屋根の面積を把握しておくことが大切です。
建物の形状によっても面積は異なりますが、坪数ごとのおおまかな面積は以下の通りです。
坪数(延べ床面積) | 外壁面積(m2) | 屋根面積(m2) |
---|---|---|
20坪(66.2m2) | 100~109 | 40~44 |
25坪(82.8m2) | 110~119 | 45~54 |
30坪(99.3m2) | 120~129 | 55~64 |
35坪(115.9m2) | 130~139 | 65~74 |
40坪(132.4m2) | 140~149 | 75~84 |
45坪(149.0m2) | 150~164 | 85~94 |
50坪(165.5m2) | 165~180 | 95~105 |
あくまでも費用相場は参考程度に
業者選びを失敗しないためにも、ご自身の建物の大体の相場を把握しておくことは大切です。
ただ、建物一軒一軒の状況によって、選定される塗料や施工内容はことなりますので、あくまでも参考程度に考えましょう。やはり、実際の費用を知るためには、複数の業者へ見積もりを依頼し、内容を比較しなければなりません。
特に以下のような状況では、同じ面積の建物でも費用に差が出てしまいます。
同じ坪数でも形が違うと、塗る面積が異なる
坪数が同じ建物であっても、建物の形状によって外壁の外周の長さに違いが出たり、平屋と2階建て、3階建てなど階数の違いによっても建物の高さが異なります。
外周の長さや高さが大きくなればなるほど塗装面積も大きくなるため、その分費用も高くなります。
劣化状況により価格が異なる
外壁や屋根の劣化状況によっても費用は大きく変わります。
例えば、外壁にひび割れが出来ていたり、屋根が破損している場合には、その部分の補修が必要となります。
また、劣化や損傷が激しい場合には、大掛かりな補修工事が必要になるため、その分費用が高くなってしまうケースもあります。
屋根の勾配、隣の家との距離などにより足場の料金が変わる
勾配が急な屋根では、安全に作業を行うために屋根足場が必要となるため、足場の費用が増えることになります。
また、隣家との距離が十分であれば問題ありませんが、隣家と密接していて十分なスペースが確保できない場合には、その分材料の運搬や組み立てに手間がかかるため費用が高くなる場合があります。
見積書に使われる項目と単価相場
主に見積もりに使われる項目は以下の通りです。全ての項目が必ず見積書に含まれる訳ではなく、工事内容によって必要な項目が見積書に記載されます。
項目 | 内容 | 単位 | 単価相場 |
---|---|---|---|
仮設工事 | |||
足場 | 高所作業による作業員の安全確保や品質の維持のために足場が必要となります。主に単管足場とビケ足場のどちらかを使います。 | m2 | 600~800円 |
飛散防止ネット | 高圧洗浄や塗料の飛散を防止するために建物を飛散防止ネットで囲います | m2 | 100~150円 |
高圧洗浄 | |||
高圧洗浄 | 外壁や屋根、付帯部など建物の蓄積された汚れを洗い流す作業で 、80〜150キロ圧の洗浄機を使います。 | m2 | 100~300円 |
外壁塗装工事 | |||
下地調整・クラック処理 | 塗装をする前に、ひび割れなど劣化部分をコーキングで補修したり、古い塗膜をスクレーパーなどでそぎ落として塗装面を整えます。 | 一式 | 20,000~30,000円 |
下塗り | 中塗り・上塗りの密着性を高めるために、塗装面に下塗り材を塗布します。下塗り材には、用途ごとにシーラー・プライマー・フィラーなどの種類があります。 | m2 | 600~900円 |
中塗り・上塗り | 上塗り1回目、上塗り2回目と見積書に表記される場合があります。また、製品によっては3度塗りで仕上げることも。選ぶ塗料のグレードによって価格や耐用年数は異なります。 | m2 | アクリル:800~1,000円 ウレタン:1,100~1,600円 シリコン:1,700~2,400円 ラジカル:1,900~2,400円 フッ素:3,200~4,200円 光触媒:3,600~4,400円 無機:3,900~4,600円 |
屋根塗装工事 | |||
下地調整 | 塗装をする前に、釘打ちやサビ止めなどの補修をして塗装面を整えます。 | 一式 | 10,000~30,000円 |
下塗り | 中塗り・上塗りの密着性を高めるために、塗装面に下塗り材を塗布します。下塗り材には、用途ごとにシーラー・プライマー・フィラーなどの種類があります。 | m2 | 10,000~30,000円 |
中塗り・上塗り | 上塗り1回目、上塗り2回目と見積書に表記される場合があります。また、製品によっては3度塗りで仕上げることも。選ぶ塗料のグレードによって価格や耐用年数は異なります。 | m2 | アクリル:800~1,000円 ウレタン:1,100~1,600円 シリコン:1,700~2,400円 ラジカル:1,900~2,400円 フッ素:3,200~4,200円 光触媒:3,600~4,400円 無機:3,900~4,600円 |
縁切り | スレートやコロニアル屋根などの場合には、屋根材同士の隙間hが塗料によって塞がらないようタスペーサーなどで隙間を設ける作業です。 | 一式 | 30,000~50,000円 |
シーリング工事 | |||
目地 | 外壁材の目地部分にシーリングを打ち込む作業で、施工方法は打ち増しと打ち替えの2種類あります。. | m | 打ち増し:500円~900円 打ち変え:700~1,200円 |
サッシ廻り | サッシとは、窓枠に使われる建材のことで、樹脂や木製、アルミニウムなどの種類があります。 | m | 打ち増し:500円~900円 打ち変え:700~1,200円 |
付帯部塗装工事 | |||
破風 | 破風とは、屋根の山形になった妻側の先端部分のことで、雨や風の吹き込みを防ぐために取り付けられた板のことを破風板と呼びます。 | m | 800~1,300円 |
化粧胴差(幕板) | 化粧胴差(幕板)とは、1階と2階の中間に取り付けられた帯状の板のことです。 | m | 600~900円 |
軒天・軒天井 | 軒天とは、外壁から張り出した屋根部分(軒)の裏側に取り付けられた天井部分のことです。 | m2 | 800~1,300円 |
軒裏換気 | 小屋裏の熱気や湿気を排出するために、軒天に取り付けられた換気口のことです。 | 個 | 2,000~3,000円 |
雨樋・配管 | 雨樋とは、屋根から降る雨水を地上や下水に適切に排水するための設備です。 | m | 600~1,300円 |
笠木 | 笠木とは、塀や手摺などの最上部に取り付ける仕上げ材のことです。 | m | 400~800円 |
水切り、水切り金物 | 水切りとは、外壁と基礎部分の間をぐるりと囲んでいる仕切り部分のことです。 | m | 400~800円 |
霧避け(庇)、勝手口庇、玄関庇 | 霧避け(庇)とは、窓や玄関などの上部に設置されている小さな屋根のことです。 | m | 2,000~4,000円 |
雨戸・戸袋 | 雨戸とは、窓の外側に付けられている板戸のことで、引き戸タイプの雨戸の戸を収納する部分のことです。 | 枚 | 2,000〜4,000円 |
シャッターボックス | シャッターボックスとは、窓やドアなどに取り付けられたシャッターの真上に設置された長方形の収納部材のことです。 | 個 | 3,000~4,000円 |
面格子(めんごうし) | 面格子とは、窓の外側に防犯を目的として取り付けられる金属製の格子のことです。 | 個 | 5,000円~8,000円 |
手摺 | 手摺とは、ベランダや外階段に設置されている柵のことです。 | 個 | 20,000~30,000円 |
妻換気、換気フード | 妻換気とは、小屋裏やに溜まる湿気や熱気を排出するために、外壁の妻面に設置された換気口のことです。換気フードは、換気口部分に雨水などの侵入を防ぐために設置されます。 | 個 | 2,000~3,000円 |
玄関扉 | 玄関扉には、アルミ製やスチール製、木製、樹脂製などの素材が使われており、アルミ製の扉の場合、通常の塗料ではすぐに剥がれてしまう可能性が高いため、基本的に塗装はしません。 | 個 | 8,000~10,000円 |
出窓屋根 | 出窓屋根とは、出窓の上部に設置されている小さな屋根のことです。 | 個 | 3,000円~5,000円 |
防水工事 | |||
ベランダ床 | ベランダの防水工事には、FRP防水やウレタン防水などの種類があります。種類によって施工方法や金額は異なります。 | m2 | 3,000円~8,000円 |
諸経費 | |||
材料運搬費・交通費 | 塗料など工事に必要な材料の運搬や移動のためににかかる費用です。 | 一式 | 20,000~30,000円 |
廃材処理費 | 工事で出た廃材を処分するための費用です。 | 一式 | 10,000~30,000円 |
まとめ
塗装工事は、定価というものが存在しないため相場がわかりにくく、専門用語が並ぶ見積書などを完璧に理解することは一般の方には非常に困難です。
そういった知識の差を悪用して本来より高額な費用を請求したり、安く見せかけて手抜き工事を行う悪徳業者も存在するので、おおまかな相場を把握しておくことが重要となります。
ただ、建物の形状や劣化状況に応じて面積や必要な工事が変わってくるため、正確な費用を把握するためには、複数の業者に実際に現地調査をしてもらった上で、見積書で確認する必要があります。
また、外壁塗装と屋根塗装を別々の時期に行った場合、それぞれに足場が必要となりますので、可能であれば同時に塗装工事を行った方がトータルコストを抑えることができるでしょう。
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