佐藤和幸
突然の雹によって建物を傷つけてしまうケースがあります。屋根や雨樋などが破損すると雨漏りの原因となり、雨漏りは建物の耐震性を脅かす恐れもあるため、早急な対処が必要です。
このページでは、雹がもたらす屋根への被害やメンテナンス方法、費用相場などについてご説明いたします。また、火災保険を利用して雹被害を修理する流れについてもご紹介しています。
目 次
- 雹(ひょう)とは
- 雹による屋根への被害
- 屋根の破損
- 屋根のへこみ
- 塗膜の劣化
- 棟板金の破損
- 雨樋の破損
- 修理方法と費用相場
- 屋根の葺き替え
- 屋根のカバー工法
- 棟板金の修理
- 雨樋の修理
- 雹被害は火災保険を使って修理できる可能性がある
- 火災保険が適用されないケース
- 経年劣化による破損
- 軽度な損傷
- 工事金額が免責金額に達していない
- 火災保険の申請方法
- 1.保険会社(保険代理店)に連絡をして、必要書類を貰う
- 2.修理業者に見積もりを依頼する
- 3.保険会社に必要書類を提出する
- 4.保険会社による調査・審査
- 5.保険金の支払い
- 6.修理業者と契約を交わして工事開始
- 火災保険を利用するときの注意点
- 火災保険の申請は被害が起きてから3年以内
- 必ずしも保険金が下りるとは限らない
- 火災保険を悪用する業者
- まとめ
雹(ひょう)とは
雹とは、空から降ってくる直径5mm以上の氷の塊のことです。5ミリ未満の場合は「あられ」と呼ばれます。
雹は初夏や10月頃に多くみられる現象です。この時期は地上の温かい空気と上空の冷たい空気によって大気の状態が不安定となり、積乱雲が発生しやすくなります。
そして、積乱雲の中が氷点下にまで下がって空気を冷やし、それによってできた小さな氷の粒が大きくなっていくことで雹に変わります。
直径5mm以上の氷が猛スピードで空から降ってくるため、建物を傷つけてしまったり、破損した建材でケガをするなど、雹は大きな事故に繋がる可能性があり大変危険です。
雹による屋根への被害
雹が原因で発生する屋根への被害として、主に次のようなケースが挙げられます。
屋根の破損
雹が屋根に勢いよく落ちて、屋根材が破損することがあります。特に、現在の戸建て住宅で一般的に使用されているスレート屋根は割れやすいため、雹によってひび割れや破損を引き起こしてしまう可能性が高いです。
割れや破損を放置していると隙間から雨水が内部に入り込み、屋根全体の腐食や雨漏りの発生、耐震性の低下などのトラブルに発展します。
また、破損した屋根材の落下や強風による飛散で、周囲の建物や車を傷つけたり、通行人にケガを負わせてしまう危険性もあります。そのため、屋根が破損した場合は早急な対処が必要です。
修理方法としては、破損した部分のみ屋根材を差し替えるか、破損が広範囲にわたっている場合は屋根のカバー工法や葺き替えを行います。
屋根のへこみ
屋根のへこみも雹被害でよくみられる症状です。近年ではガルバリウム鋼板を使用している住宅が増えてきていますが、ガルバリウム鋼板やトタンなどの金属屋根は衝撃によってへこみやすいので、雹によるへこみにも注意が必要です。
屋根材のへこみは美観が損なわれる他に、雹によって付いた傷からサビが広がり、やがて屋根材に穴が開いて雨水の浸入に繋がってしまう恐れがあります。
へこみ程度であれば部分的な修理で対応できますが、穴が開くほど状態が悪化していると下地の腐食や雨漏りの発生などを引き起こしている可能性もあり、その場合は屋根のカバー工法や葺き替えなどが必要となります。
塗膜の劣化
雹が屋根に当たると屋根表面の塗膜が傷つき、それによって塗膜の劣化を早めてしまう可能性もあります。
塗膜には紫外線や雨風などから屋根材を保護する役割があります。しかし、塗膜が傷つくと塗料の耐用年数よりも早くひび割れや塗膜の剥がれなどが発生し、塗料本来の保護機能を十分に発揮できなくなってしまいます。
そして、最終的に塗膜の性能が失われると屋根材に雨水が染み込んでしまったり、劣化によって生じた隙間から雨水が浸入し、屋根全体に大きな被害が及ぶ恐れがあります。
塗膜の劣化は塗り替えによる修理が可能です。屋根材にまで劣化が広がると建材の交換などが必要になり、塗装だけでは対応できなくなるため、放置せずに被害が広がる前に早めにメンテナンスすることが大切です。
棟板金の破損
棟板金とは、屋根の一番高い位置に取り付けてある部材のことです。
屋根は複数の屋根材を組み合わせて形成されているため、屋根材同士の結合部分に隙間ができます。
そこで通常は結合部分にコーキング材を充填して隙間を埋めるのですが、屋根の頂上部は特に雨風の影響を受けやすい箇所となるため、棟板金で結合部分を覆って雨が内部に吹き込まないようにカバーします。
棟板金には主に金属製の素材が使われており、雹が当たってへこみや傷ができるとサビの発生や穴あきに繋がり、そして屋根内部に雨が浸入して下地に使われている木材の劣化や雨漏りの発生などを引き起こします。
また、棟板金そのものが破損したり、剥がれてしまうケースもあり、棟板金の飛散や落下によって大きな事故に発展する危険性もあります。
雨樋の破損
雨樋に雹が当たって破損、歪み、変形、ズレなどが発生するケースも多いです。
雨樋は屋根に降った雨が排水口へ流れるように誘導する役割がありますが、破損や変形などが起こると正しく雨が流れて行かずに様々なトラブルを引き起こします。
例えば、屋根に降った雨が直接地面に流れて家の周りに雨水が溜まってしまったり、雨樋内部に滞留した大量の雨が溢れ出し、泥や水が跳ねて近くの外壁や基礎を汚してしまう可能性があります。
さらに、通常は屋根から雨樋に向かって雨は流れていきますが、雨樋に異常があると屋根から外壁に雨が伝ってしまい、その雨によって外壁材の劣化が進行し、最終的に雨が内部に染み込んで雨漏りに繋がる恐れもあります。
雨樋の破損に関してはご自身でも目視で確認できる部分かと思いますので、雹が降った後だけではなく日頃から異常がないかチェックしておくと安心です。
修理方法と費用相場
被害別の修理方法と費用相場は、以下の通りです。
屋根の葺き替え
屋根の葺き替えとは、古くなった屋根材や防水シートなどをすべて撤去して、下地から屋根材まですべて新しいものに交換する工事のことです。
雹による被害が拡大して下地にまで劣化が進行していたり、雨漏りしている場合、既に一度カバー工法を行ったことがある屋根などは葺き替えが必要となります。
葺き替えは屋根全体を一新できるので、屋根の耐久性を向上させられるメリットがあります。ただ、既存の屋根材の撤去費用などが発生するため、屋根リフォームの中では最も高額な工事となります。
屋根の葺き替えにかかる費用は、一般的な戸建て住宅で100万円~300万円程が相場です。費用は屋根の大きさや使用する屋根材の種類などによって変動します。
屋根のカバー工法
屋根のカバー工法とは、古くなった屋根材をそのまま残し、その上から新しい防水シートや屋根材を被せる工事のことです。
屋根材の劣化が軽度で、下地にまで劣化が進行していない場合はカバー工法による修理が可能です。
カバー工法は屋根材の撤去費用が必要ないため、費用を抑えて屋根のリフォームをすることができます。また、屋根が二重になるので防音性も高まります。
デメリットは、屋根を二重にすることにより重量が増えてしまうので、できるだけ屋根の重さを抑えて耐震性を維持するために、新しく被せる屋根材はガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなどの軽量な屋根材に限られるという点です。
また、万が一施工業者が調査の判断を誤り、本当は下地の劣化や雨漏りが進行しているのにカバー工法を行ってしまうと、雨漏りの原因究明や難しくなったり、修理に手間や費用がかかるため注意が必要です。
カバー工法の費用は、70万円~200万円程が相場です。葺き替えと同じく、屋根の大きさや使用する屋根材などによって費用は変動します。
棟板金の修理
棟板金の修理方法は、被害状況により異なります。
軽度なサビや傷であれば、塗装で修理が可能です。棟板金の塗装費用は施工範囲や使用する塗料によっても変わりますが、5万円~10万円程度が相場となります。
棟板金に破損や穴が生じていたり、サビが広範囲にわたってみられる場合は、棟板金の交換が必要です。交換費用は7万円~25万円程度が相場です。
ただし、棟板金の内部に設置されている「貫板」と呼ばれる下地材にまで雨水による被害が及んでいる場合は、下地の修理費用もかかるため費用もさらに高額になります。
雨樋の修理
雨樋の部分的なへこみや傷などであれば、被害を受けた部分のみ交換が可能です。部分交換にかかる費用は劣化状況にもよりますが、数千円~1万円程度が相場です。
雹による被害が広範囲にわたる場合は、雨樋全体の交換が必要です。全体の交換費用は雨樋の長さなどで変動し、10万円~30万円程が相場となります。
雹被害は火災保険を使って修理できる可能性がある
雹による建物への被害は、火災保険を使用して修理できる可能性があります。ここらかは火災保険の適用条件やおおまかな手続きの流れを解説していきます。
火災保険と聞くと火災による被害のみが対象と思われがちですが、台風や豪雨などの自然災害も対象となり、雹災も保険を利用して修理ができます。
ただし、条件を満たさなければ保険は適用されないので、必ずしも保険金を受け取れるとはかぎりません。また、契約内容は加入者それぞれで異なるため、あらかじめどのような災害が適用範囲なのかを確認しておくことが大切です。
火災保険が適用されないケース
次のようなケースでは、火災保険は適用されません。
経年劣化による破損
火災保険は自然災害による被害が対象となり、経年劣化による破損や性能低下などは保険の適用外です。
また、実際に雹によって屋根に被害が及んだ場合でも、保険会社側が「経年劣化が原因である」という結論を出してしまうと申請は通りません。
軽度な損傷
保険会社によって対応は異なりますが、雹被害であっても軽度なへこみや傷などの場合は機能自体には問題が無いと判断され、保険が適用されないケースがあります。
工事金額が免責金額に達していない
火災保険を使用するからといって全額、保険金でまかなえるわけではありません。火災保険を使用して修理をする場合、加入者は必ず免責金額を支払う必要があります。
免責金額は契約内容によって変わりますが、一般的に20万円で設定されていることが多いです。そのため、100万円の工事をするときに受け取れる保険料は、免責金額20万円を引いた最大80万円となります。
以上のことから、工事金額が免責金額に達していない場合は、そもそも受け取れる保険料がないため保険は適用されません。
火災保険の申請方法
火災保険の申請は、次のような流れで行います。
1.保険会社(保険代理店)に連絡をして、必要書類を貰う
まずは保険会社もしくは保険代理店に連絡をします。その際、保険証書など契約内容がわかるものを用意おくようにしましょう。
保険会社の担当者にいつ、どこで、どのような被害が起きたのかをわかる範囲で伝え、必要書類を貰います。
2.修理業者に見積もりを依頼する
次に修理業者に見積もりを依頼します。このとき、業者には火災保険を利用する旨をきちんと話しておくことが重要です。
火災保険の申請には見積書や施工箇所の写真などが必要になるため、火災保険を使うことが伝わっていればスムーズに書類を揃えられ、業者側も調査や工事の計画を立てやすくなります。
3.保険会社に必要書類を提出する
申請に必要な書類が揃ったら、保険会社に提出します。
必要書類とは、保険会社から貰う「保険金請求書」と「事故内容報告書」、修理業者から貰う「見積書」と「施工箇所の写真」の主に4点です。
4.保険会社による調査・審査
提出した書類を基に、保険会社による調査・審査が行われます。
場合によっては、保険会社から被害状況の確認のために電話が来たり、実際に家に来て建物を調査するケースもあります。
5.保険金の支払い
申請内容に問題がなく審査が通れば、保険金を受け取ることができます。
保険の支払い期限は、原則として申請が完了してから30日以内と定められています。ただし、大規模な災害などが発生した後や特別な調査が必要になる場合は、それ以上の日数がかかる可能性があります。
6.修理業者と契約を交わして工事開始
保険金を受け取ったら修理業者を契約を交わし、日程などを調整して工事を開始します。
火災保険を利用するときの注意点
火災保険を利用する際は、以下のような点に注意しましょう。
火災保険の申請は被害が起きてから3年以内
火災保険の申請ができるのは、被害が起きてから3年以内と定められており、3年を過ぎると保険の適用外となるため注意が必要です。
どうしても申請までに時間がかかる場合は、被害時の状況がわかるように写真やメモを残しておくといいでしょう。
ただ、実際に雹などの自然災害による被害だとしても、時間が経つと原因を特定するのが難しくなり、保険会社から経年劣化が原因とみなされてしまう可能性もあります。
そうなると保険金を受け取ることができなくなるため、被害が発生したらできるだけ早めに申請することが大切です。
必ずしも保険金が下りるとは限らない
保険金は申請したからといって、必ず受け取れるわけではありません。保険会社の調査・審査の結果、申請が通らないケースもあります。
また、申請が通っても免責金額を引いた工事金額が全額受け取れるとは限らず、一部費用のみが支払われるパターンもあります。
そのため、工事を開始するのは、保険金額が確定してからにしましょう。審査結果を聞く前に工事を始めてしまうと、万が一保険金が下りなかったときに施主が施工金額を全額負担することになります。
火災保険を悪用する業者
「火災保険を使って無料で修理できます」等と言い、契約しようとする業者には要注意です。
前述したように、火災保険の利用には加入者が負担する免責金額が定められていたり、申請したからといって必ずしも保険金が支払われるとは限りません。
しかし、火災保険を悪用するような業者は被害状況を詳しく調べず、さらに申請の結果が出る前に契約を迫ってきます。
業者の中には、保険金が受け取れなかった場合に契約を解除したいと伝えると、高額な違約金や解約金を請求するような業者もいます。
火災保険を利用して詐欺を行う悪徳業者も存在しますので、無料で修理などといった言葉に騙されずに、契約を交わすのは申請の結果が出てからにしましょう。
まとめ
雹による屋根への被害は、割れやへこみ、破損、穴あき、塗膜の劣化、サビの発生など様々な症状が挙げられます。また、雨樋の破損や棟板金の飛散など、雨漏りを防ぐうえで重要な部材にダメージを与えてしまうケースもあります。
修理方法は被害状況によって異なり、部分的な修理であれば数万円~数十万で済みますが、被害が屋根全体に及んでいると100万円以上の大がかりな工事が必要になる可能性もあります。
雹が原因の被害については火災保険を使用して修理を行える場合もあるため、もしもの時に備えてご自身が加入している保険内容を確認しておくといいでしょう。
ただし、火災保険を悪用して詐欺行為を働く業者もいるため、「火災保険を使って無料で修理できる」等と謳っている業者には注意が必要です。

お気軽に








満足度96.0%!












